※当記事は、以前はてなブログで書いていた記事を再構成したものです。
こんにちは。
僕の担当アイドルであり、人生を動かすほどの影響力を与えてくれたキャラクターに三村かな子がいます。
そんな彼女のデビューシングルである『ショコラ・ティアラ』。三村かな子を象徴する曲と言っても過言ではないでしょう。
今回は、1人の三村かな子担当Pとして、この曲の魅力と意味を改めて考えていこうと思います。
……
結論から申し上げますと、『ショコラ・ティアラ』は、「”普通の女の子”三村かな子が、アイドルという世界に身を置いて変わっていく。自分を好きになっていく」曲と感じています。
どういうことなのでしょう??
[ad]1番
1番Aパート
お手本よりたくさん イチゴのせたショートケーキ
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
こんな風にきっと なりたかった
大好きなスイーツを探しにケーキ屋に向かう場面でしょうか。このフレーズでかな子の内心が見え透いてきます。
かな子は自分に自信がない女の子でした。自分のことを「取り柄のない女の子」だと思っていました。
そんな彼女にとって、憧れていたのはみんなから愛される存在。
『お手本』(=普通。みんなと同じ)よりも『たくさん』『イチゴがのったショートケーキ』は、女の子のみならず多くの人から好かれ、求められる食べ物です。
『こんな風』に、イチゴのショートケーキみたいに、みんなから愛され、一目置かれる存在になりたいというかな子の思いの丈がそのまま表現されています。
そして注目してほしいのが『きっと』『なりたかった』という部分。
この部分を見ると、アイドルになる前のかな子は、みんなから愛されたり一目置かれる存在になることを心のどこかで諦めていたようにも見えます。
だって、「可愛くなって注目されたい」という思いが強いのなら、単純に「なりたい」と言えばいいのですから。
『きっと』とぼやけた言い方にしているのは、「どうせ無理かも……」という諦めの気持ちがあるからかもしれないのかなって。
1番Bメロ
だから今 この気持ち そっと奏でてみよう
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
胸の鍵を開けて
『だから』『今』。
せっかくプロデューサーさんが与えてくれた、アイドルになるチャンス。その機会を絶対に活かそう。
今まで「どうせ私なんて」「取り柄なんてない」と言って押し殺していた『胸の中の閉ざされた扉』を開けて、”変わりたい本心” を開放する時なんだ。
というかな子の決意が最初に現れた部分です。
「ちょっと信じられない」けど、もしかしたら変われるかもしれない。
『たくさんイチゴのせたショートケーキ』のような自分になれるかもしれない。
そんな、最初の時とはちょっぴり違った思いが芽生え始める部分です。
1番サビ
夢のティアラ 変われるかな いくつも花が咲くような
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
虹のショコラ しあわせから ドキドキに変わってく
『夢のティアラ』。
ティアラは”上品さ”や”綺麗さ”の象徴となり得るものであり、「シンデレラ」に最も似合う装飾品。
つまり、『夢のティアラ』はかな子の憧れ・理想を象徴したものととることができます。
一方の『虹のショコラ』。
ショコラ(=Chocolat=チョコレート)は、甘くて幸せにしてくれるものだけど、基本的に誰もが手の届くお菓子。
つまり『虹のショコラ』は現実でのかな子を象徴しているものと考えられます。
(この後も『夢のティアラ』=理想、『虹のショコラ』=現実、という対比で歌詞が進んでいきます)
1番・総括
この部分は、”アイドル三村かな子”の思いと葛藤が凝縮された歌詞だと思っています。
前半は『いくつも花が咲くような』アイドルになりたいな……変わりたいな……という理想を夢見ている場面。目標像に憧れているときのかな子は、夢の中の気分=『しあわせ』な感情を抱いています。
しかし、アイドルの世界はそう簡単にはいかない。
慣れない環境で失敗もたくさんしてしまう。
突き抜けた個性を持ったアイドルや、高い能力を存分に発揮するアイドルもたくさんいる。
『夢のティアラ』のようになれるのかな……どうしよう……という不安・恐怖。
それと同時に出てくる、本当に変われるかも……という興奮。
プラスとマイナスの感情が両方絡み合った状態が、1番サビの状態ではないでしょうか。
[ad]2番
2番Aメロ
バニラのような願いを 枕にした夜は
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
ヒロインになった 夢みたいな
『バニラのような願い』。
バニラはバニラアイスだったり香水など、甘く濃厚な匂いを出す植物。”甘い夢の中の気持ち”にはぴったりの植物です。
一方でバニラには永久不滅という花言葉もあります。
このように考えると、この部分は、
「ヒロインになりたい」だけでなく、「ヒロインのようにずっと愛されて輝いてる女の子でいたい」
という心の内も垣間見える部分ではないでしょうか。
”理想のわたし”を夢見て毎日レッスンに励んでいる姿、毎日アイドル活動に取り組んでいる姿を感じます。
2番Bメロ
だけどきっと強がれない そんな自分だって
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
もっと好きになれる
『だけどきっと強がれない』。
自分が夢見ている、みんなから憧れられる存在には程遠いかもしれない。もっとふさわしい女の子が自分の周りにはたくさんいる。強がれるほどの武器なんて持ってない。
『そんな自分』。
「今までの自分」=「心のどこかで理想を諦めていた自分」。それを、
『もっと好きになれる』。
今までの歌詞の流れから見ると急展開と言ってもいいワードでしょう。どうしてなのでしょう……??
その理由を教えてくれるのがデレステ内のコミュイベントです。
コミュ3は現場の雰囲気が悪い中でかな子が差し入れすることで空気を和ませるシーン。コミュ4はトーク番組に出演したかな子が、内容を思いつかない中でアドリブと愛嬌で切り抜ける話。
どちらも特別なことはしていません。
そんなかな子の姿を、プロデューサーは「かな子らしかった」と言ってくれます。失敗してしまったところも含めてかな子の魅力であることを伝えたのです。
かな子自身も「すこしくらいの苦さも、味のエッセンスですよね」と納得しています。
つまり、「強くないところも含めて”私”なんだ。強がれないところも魅力の1つだから、そういう自分も好きになっていいんだ」と気付いたことがこの歌詞に含まれているのではないでしょうか。
……どうでしょうか?
1番Aメロの時より大きく成長したかな子を見れているのではないでしょうか??
2番サビ
ハートのドア 開きながら 未来のかけらみたいな
きらめくオーラ 感じるから ときめきも怖くない
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
『ハートのドア』(=心の壁)を『開きながら』アイドルの世界に飛び出したかな子。
その先には、『未来のかけらみたいなきらめくオーラ』が待っていました。
プロデューサー、アイドルの仲間、ファンの方々。
たくさんの人と巡り合えて、たくさんの思いを受け止められた。たくさんの言葉や考え方にも出会えた。
アイドルという世界は、輝かしい未来を映し出してくれる。私自身を『夢のティアラ』のような憧れてくれる存在に変えてくれている。
それらを凝縮した言葉が『未来のかけらみたいなきらめくオーラ』だと感じています。
『ときめきも怖くない』。
本来、”ときめき”という言葉はプラスイメージなはず。なのに、怖い対象(→マイナスイメージの言葉)になっている。
なぜだろう?
……恐らく、ここでの”ときめき”は1番サビの”ドキドキ”の言い換えになっているのではないでしょうか。
つまり、”ときめき”は恐怖・不安・興奮・胸騒ぎ・期待……アイドルに対する複雑な感情が入り交じった状態だということです。
この不安定な状態を乗り越えさせてくれたのが、『きらめくオーラ』=成長している(させてくれる)実感でした。心のモヤモヤを抱えている自分も含めて、三村かな子の魅力なんだと気付いた瞬間なのです。
[ad]Cメロ
あかり灯したフロマージュ
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
新しい私の バースデイ
フロマージュとはフランス語でチーズのこと。転じて、日本ではチーズケーキのことをフロマージュと呼んでいるところもあります。
この歌詞では『あかり灯したフロマージュ』が『新しい私のバースデイ』の象徴として語られています。
一体どういうことなのでしょうか……?
ここでもう一度冒頭の歌詞を思い出してみてください。
かな子が初めに憧れていたのは””たくさんイチゴが乗ったショートケーキ””でした。
イチゴのショートケーキは誰もが憧れる象徴ですが、このショートケーキが憧れる対象の理由は「イチゴがたくさんあるから」。つまり、イチゴが乗っていなければ「お手本」(=人並み)と大差なくなるのです。
一方、フロマージュ(=チーズケーキ)は、トッピングが乗っていなくても贅沢なお菓子として重宝されます。つまり、フロマージュ自体の味が評価されているということです。
ここまでのかな子は、「アイドルとして、他人よりも優れてなくてはいけない」という強迫観念が心のどこかにあったように感じます。
でも、そうじゃなくていい。
私は「私らしく」あることで輝けるんだ。そう皆が気づかせてくれたんだ。
他のアイドルのように高いパフォーマンスやキャラクター性といった「イチゴの量」じゃなくて、”かな子らしさ”といった「素材そのものの味」で勝負していいんだ。
このことに気づいたことが、かな子にとっての『新しい私のバースデイ』なのです。かな子が変わった瞬間であるともいえます。
[ad]ラストサビ
夢のティアラ 見つけるから 涙も跳ね返せるような
『ショコラ・ティアラ』作詞:古谷真
虹のショコラ 集めながら これからも歩いてく
『夢のティアラ』。
涙を跳ね返せるくらい素晴らしい、自分の中の理想像でありみんなから憧れにされる存在。
そんな”理想の私”の姿は、まだ見つけられていないかもしれない。
でも。
『虹のショコラ』。
チョコレートはささやかな幸せを与えてくれる。でも決して特別なものではなく、みんなが手に入れられるもの。
そのような、”三村かな子らしさ”によって、私も他の人を幸せにできるのかもしれない。
私を変えてくれるのは、夢物語の中のティアラだけではなく、現実世界にある「人と人との繋がり」「仲間やプロデューサーがくれる言葉」「自分自身が変わろうとする気持ち」なんだ。
それらを『集めながらこれからも歩いてく』ことで、これからも歩み続けていけるし、理想の自分に近づくことができるんだ。
………ここまで見てみると、当初のかな子とは相当な変化があったことが見て取れるはず。
たくさんイチゴが乗ったショートケーキを”遠い存在”と思って諦めかけていた頃から、自分らしさを見つけて追求するようになっていった。そんな自分を好きになっていって、『変われるかな』という願いを叶えていった。
『ショコラ・ティアラ』はまさしく、アイドルマスターシンデレラガールズの物語内における、三村かな子の物語そのものではないでしょうか。僕はそう感じています。
[ad]最後に
ここまで読んで下さってありがとうございます……!
今回の記事で、「三村かな子の物語」を少しでも知っていただけたなら幸いです…!
優しい女の子。その裏で自分を変えようとずっと努力している女の子。
この記事によって、そんな三村かな子の二面性にも気づいてくれたならもっともっと嬉しいです。
そして、この記事のおかげで三村かな子を好きになってくれたら、これ以上の喜びはありません……!
御覧いただきありがとうございました!