こんにちは。
2020年10月9日。三村かな子の2曲目のソロ曲である『おかしな国のおかし屋さん』がデレステに実装されました。
いや〜〜〜………………本当にありがとうバンダイナムコゲームス………(限界オタクの叫び)
………
あまりの感情の高ぶりで我を忘れてしまいました。
今回は、以前書いた『ショコラ・ティアラ』の記事のような形で、デレステに実装された『おかしな国のおかし屋さん』の魅力を書いていこうと思います。
[ad]楽曲について
前作の『ショコラ・ティアラ』は、どちらかと言えば”渋谷系”に近いサウンドとなっていました。ポップな音の中にギターがガンガン効いているあたりがその要素であり、可愛さとお洒落さの両立につながっていました。
今回の楽曲は、渋谷系っぽいお洒落サウンドは残したまま、「ドゥワドゥワ」といった声を入れています。
いわゆるドゥーワップと呼ばれる音楽ジャンルの要素ですね。
※参考:ドゥーワップ楽曲の例(シャネルズ)
三村かな子のアイドル像である”お菓子の世界観”って、ただ可愛いだけとかキュートなだけではダメで、「可愛い」「お洒落」「高級」「親しみやすさ」が絶妙のバランスで成り立っているんですよね。
今回はミュージカル調の曲がテーマになっていることもありますが、『ショコラ・ティアラ』とは違ったテイストでお洒落さと可愛さを両立させているところが本当にすき。
ストリングスとバスドラムもいいですよね……
ドラムが結構強めに効いているところが、ソロ1曲目の『ショコラ・ティアラ』との差異になる部分でしょう。それは今回の楽曲のテーマに関わってくるところなんですよね…!(詳しくは後述します)
お菓子で例えると、『ショコラ・ティアラ』は飴細工のような楽曲であり、『おかしな国のおかし屋さん』はチョコレート菓子のような楽曲に感じています。
まずは楽曲そのものの感想・概要でした。
ここからは歌詞の考察に移っていきましょう!
[ad]歌詞について
イントロ
むかしむかし、あるところに、お菓子の国がありました。
そこに、1つの娘が小さなお菓子屋さんを開いていました。
これはそんな日の物語です。
はじまり、はじまり。
『おかしな国のおかし屋さん』より
歌詞を単に眺めているだけだと、これは物語の導入でしかないように見えます。
だけど。
かな子がよく使う言葉を知ってからこの歌詞を見ると、見方が180度変わってきます。
その言葉は……『魔法』。
今から始まる物語は、かな子がかけられた「魔法」の中の物語。
そんな視点を持ってみると、少し違った見方ができるかもしれません。
1番(前半)
おはよう!お天道様がにっこり
おいしいお菓子並べてほっこり
最初のお客さんはメレンゲうさぎさん あわててこう言いました
「たいへん!王子が目を覚まさないの!」
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
最初の「にっこり」「ほっこり」。かな子を表す単語としてこれ以上なく適切な言葉たち。
そこに現れたメレンゲうさぎ。王子様とお姫様(かな子)ともう一人の「第三者」の存在です。
「あらあら困ったわ。どうしましょう。」
すると、メレンゲうさぎは言いました。
「あまーいキスなら目がさめる!」
だけどそんないきなり恥ずかしいから
とりあえずあま〜いお菓子作っちゃお!
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
「あらあら困ったわ。どうしましょう。」
この対応、すごく”かな子っぽく”ないですか??
慌ててオロオロするわけでもなく、すぐ行動するタイプでもなく、まずは相手の話を聞いて落ち着こう・落ち着かせようとする姿勢。
以前こちらの記事でも書いたんですが、かな子は人の話を聞いて協調するのが抜群に上手い女の子なんですよね。この1フレーズだけでもかな子のそういった部分が垣間見えてきます。
「あまーいキスなら目が覚める!」
かな子は普段は高校生の女の子。どちらかというと控えめなタイプ。
大人への第一歩であるキスはまだまだ恥ずかしい年頃。
……キスは「恥ずかしい」し、わたしには敷居の高いものだ。
どうしよう。
そこで「とりあえず」「あまいお菓子作っちゃお!」に行くのが、なんともかな子らしいというか、かな子の(いい意味で)ゆるい点だと思います。だいすき。
1番サビ
あまいキスだなんて わたしできない
ドキドキがとまらない これはなぜかしら?
あまいお菓子つくって わたしどうしよう?
焼く前のタルト 未熟な私みたい
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
かな子だって高校3年生の女の子。大人を夢見る、子供と大人の狭間にいる女の子。
キスへの憧れと抵抗の間で揺れ動く感情がサビの歌詞に詰まっています。
…………
先ほど作ったお菓子。それは「とりあえず」「恥ずかしいから」キスを考えないために作ったものでした。
でも、その猶予もお菓子を作っているだけの束の間の時間。
お菓子が出来たら”王子とのキス”に向かい合わなきゃいけない。
どうしよう……??
そんな大人になりきれていない”わたし”。
焼き上がったタルトはこんがり焦げ目がついて大人の味になる。でも大人の味になる前の儀式(=焼く)を通る前のタルトは、まだ未完成の状態。
……『ショコラ・ティアラ』の時の「自分自身への葛藤」とはまた違った、大人への階段を登りきれないかな子の姿がある状態です。
では、この状態のかな子はこの後どうなっていくのでしょうか??
[ad]2番
メレンゲウサギさんは言いました。
「あれあれ、ガラ砂糖の靴がない!王子の大切なものなのに…」
「たいへん!じゃあわたしが作り直すわ。お砂糖取ってこなきゃ!」
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
王子の大事な「ガラ砂糖の靴」。
ここでかな子は「わたしが作り直す」と言っています。
さっきと違って自分から行動を起こして動き始めているのです。
かな子は確かに前にグイグイ出るタイプじゃないかもしれないけど、決して引っ込み事案じゃなく「自分から輪を広げられる」タイプの女の子なんですよね。
かな子のウワサ①はまさにその象徴だと思っています。意識してるってところがいいよね。
………
ここからしばらくは、かな子のお菓子の国を説明する歌詞が続いています。かな子自身が理想にあげている「魔法の世界」の中にいるようなふわふわした世界が目に浮かんできます。
………
そうだ お気に入りのわたしのヒール
とりあえずお手本にして作っちゃお!
あまいキスだなんて わたしできない
トキメキがあふれるガラス砂糖の靴
あまいお菓子みたいに わたし心も
デコレーションしたら勇気を出せるかしら
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
1番の時は「とりあえず甘いお菓子を」作ってみたかな子。
ですが、2番になると「ヒール」を「お手本にして」作っています。つまり王子様と真剣に向き合い始めているのです。
……
「あまいキスだなんで」まだ無理かもしれない。
でも、「あまいお菓子」にはたくさん砂糖がかかっていて、お菓子をより甘くする”魔法”の役割をしてくれている。
普段よりちょっとだけ「デコレーション」して勇気を出してみよう。そうすれば大人に近づけるかもしれない。
そんなかな子の姿が当楽曲であり、[ほの甘いロマンス]であったりするのです。
間奏
タルトが焼けたわ!いい香り!
カスタードクリーム、レモンを並べて、レモンタルト完成!
あとは…!
…ちょっとだけ味見しちゃお!
ぱくっ もぐもぐもぐ
おいしい〜!
あ!
うっかり、食べかけのタルトが、王子の口唇に!
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
いや〜〜〜この辺りの歌詞、めっちゃ「みんなの想像する三村かな子」ど真ん中じゃない?????
だいすき………!!!
……
「…ちょっとだけ味見しちゃお」。
かな子は周りの人をお菓子で満たすことのできる素敵な女の子であるんだけど、その一方でこういう風にちょっと天然だったり自分に甘いところもある。
でも、346プロには自分に厳しく、相当な勢いと覚悟を持ってアイドルをしている子もたくさんいる。そんな中で他人に優しく自分にも適度に甘い三村かな子の存在って、プロダクションの雰囲気を間違いなくいいものにさせる力を持っているんですよね。
そういう点が「うっかり、食べかけのタルトが、王子の口唇に!」の部分にも垣間見える気がしています。
……
あと、「おいしい〜!」の声が最高にいい。オタクは全人類フルver.を聞いてくれ。
世界で一番幸せな表情を浮かべているかな子の顔が浮かんでくるような声をしていますから。
[ad]ラスサビ
あわわ ど、ど、どうしよ!
わたし なんてこと!
布巾を濡らして早く拭かなくちゃ
(あれ?)
あやや王子の瞳 ゆっくり開いてく!
まさかのミラクル はじめまして王子様
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
このラスサビのあたりの歌詞もかな子らしさ全開。
決して要領はよくないかもしれないけど、”特別なパフォーマンスを見せる”タイプのアイドルもいる中で、”等身大の女の子らしさ”が武器になる唯一無二の魅力の持ち主。
口唇にタルトがくっついた時点で「これってキスできるじゃん」と考えてもおかしくない(僕なら考えます)ところを、最初に相手の身を心配できる気配り能力もすき。
それでいて結局「まさかのミラクル」で「はじめまして王子様」になるとこもいいよね。お菓子の甘いふわふわした世界線の良さを感じます。
「甘酸っぱいキスで、僕は目を覚ましました。ありがとう。
よかったら、このガラス砂糖の靴を履いてみてくれませんか?」
娘が、そろそろと足を入れてみると、なんとぴったり!
…こうして王子様と幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
『おかしな国のおかし屋さん』より 作詞:Mitsu・佐藤貴文
なんやかんやあったけど、王子様と結ばれて幸せに暮らせました。よかったね。
……
ここまでの物語でかな子は何をしてきたのか思い出してみてください。
そう。
実はお菓子を作っているだけだったんですよね。
結ばれたきっかけも「恥ずかしいから作った甘いお菓子」だったし、王子様が求めていたものも「ガラス砂糖の靴」(≒お菓子)だったし。
それでいてちゃんと物語が成立して(してしまって?)いるし、かな子の可愛さも人柄も伝わっている。
『ショコラ・ティアラ』とはまた違った、かな子の魅力を前面に押し出していた歌詞なんですよね……!!
[ad]最後に
ここまで読んで下さってありがとうございます!
『おかしな国のおかし屋さん』は楽曲そのものも良曲ですが、王子役のアイドルが演出で出てくるMVも極めて良質なものになっています。
少しでも多くの方がこの曲を好きになってくれたなら、一担当としてとても嬉しく思います。